民法第177条の第三者
A所有の甲地がBに譲渡され、さらにAB間の譲渡の事実を知っているCに所有権移転登記がされた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる。
民法第177条と不法占有者
A所有の甲地がBに譲渡されたが甲地には不法占有者Cがいた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる。
民法第177条と背信的悪意者
Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Aが重ねて甲土地を背信的悪意者Cに売却し、さらにCが甲土地を悪意者Dに売却した場合に、第一買主Bは、背信的悪意者Cからの転得者であるDに対して登記をしていなくても所有権の取得を対抗できる。
民法第94条2項類推と転得者
不動産の真実の所有者Aの意思によりBの承諾なくしてB名義の不実の登記がなされ、その後当該不動産がBから悪意のCに譲渡され、さらにCから善意のDに譲渡された。この場合、判例によれば、Dは、Aとの関係では善意の第三者として保護され、当該不動産を取得する。
取消前の第三者
A所有の甲地がBに売却され、さらに善意のCに売却された後、AB間の売買契約が詐欺を理由に取り消された場合、Aは登記なくしてCに取り消しを対抗することができる。
取消後の第三者
Bは、詐欺によりA所有の不動産をBに売却させ、後にAは、詐欺を理由としてAB間の売買を取り消したが、当該売買の取り消し後Aが当該不動産の登記を回復しないうちに、Bは、当該不動産を善意の第三者Cに譲渡し、Cは、当該不動産の登記を備えた。この場合、Aは、不動産売買の取消しの効果をCに対抗できない。
時効完成後の第三者
A所有の甲地につきBの取得時効が完成した後に、Aが甲地をCに譲渡した場合、Bは登記なくしてCに対抗できる。
制限能力者と即時取得
成年被後見人Aは、その所有するパソコンをBに売却したが、Bは、Aが成年被後見人であることについて善意・無過失であった場合、Bは即時取得(民法第192条)によりパソコンの所有権を取得することができる。
即時取得
Aがその所有する建物をCに賃貸していたところ、Cがその建物を自己と所有する建物としてBに売却した場合、Bは即時取得により建物の所有権を取得できる。