民法第177条の第三者
A所有の甲地がBに譲渡され、さらにAB間の譲渡の事実を知っているCに所有権移転登記がされた場合、Bは登記なくしてCに対抗することができる。
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解答 ×
(出典)00年問28(イ)
177条に関する基本的な問題です。
民法第177条については、条文を暗記してしまうぐらい繰返し学習する必要があります。
177条は、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」旨を定めています。
問題は、177条の「第三者」とはどのような者が該当するかです。
判例・通説は、「当事者もしくはその包括承継人以外の者で、登記の欠缺(けんけつ)を主張する正当の利益を有する者」としています。
具体的には、悪意者は177条の「第三者」に該当しますが、背信的悪意者は該当しません。
悪意者を保護することについて違和感を感じられる方もいるかと思いますが、不動産取引の画一的処理を図るためというのが理由の一つです。
悪意か否かは、客観的には判断が困難なため、悪意者を保護しないとすると、不動産取引の当事者は悪意か否かを確認しなければならなくなります。
これでは、不動産取引が停滞しかねません。
一方、背信的悪意者まで保護するとなると保護しすぎという批判があります。
そこで、悪意者は177条の「第三者」に該当しますが、背信的悪意者は該当しません。
設問は、「AB間の譲渡の事実を知っているC」は、悪意ですが177条の第三者に該当します。
よって、Bは登記なくしてCに対抗することはできませんので、誤りとなります。
参考条文
民法第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。