表見代理(民法第109条・110条・112条)
表見代理が成立する場合には、本人は、無権代理人の行為を無効であると主張することができないだけでなく、無権代理人に対して損害賠償を請求することもできない。
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解答 ×
(出典)99年問27(5)
設問は表見代理が成立した事例です。
表見代理が成立する場合、本人は、無権代理人の行為を無効であると主張することができなくなります。よって、設問前段は正しいです。
しかし、表見代理が成立する場合であっても、無権代理人行為によって損害が生じたのであれば、無権代理人に対して損害賠償を請求することはできます。
この二つは全く別次元の問題だからです。
参考条文
民法第109条(代理権授与の表示による表見代理)
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
民法第110条(権限外の行為の表見代理)
前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
民法第112条(代理権消滅後の表見代理)
代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。