同時履行の抗弁(民法第533条)
民法第533条(同時履行の抗弁)
「 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。 」
同時履行の抗弁については、趣旨と要件、効果、留置権との比較を整理しておく必要があります。
同時履行の抗弁の趣旨
双務契約における当事者間の公平
同時履行の抗弁の要件
同一双務契約から生じる債権が存在
双方の債務の弁済期が到来
相手方が自己の債務の履行又は履行の提供をしないにもかかわらず、履行を請求
同時履行の抗弁の効果
債務の履行を拒絶できる
留置権との比較
同時履行の抗弁権は第三者に主張することはできません。
⇒留置権は物権です。
⇒よって、第三者に主張することもできます。
同時履行の抗弁権は担保の提供による消滅請求はできません。
⇒留置権には、民法第301条に規定があります。
(参考)
民法第301条(担保の供与による留置権の消滅)
債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる。