申込者の死亡又は行為能力の喪失(民法第525条)
民法第525条(申込者の死亡又は行為能力の喪失)
第97条第2項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。
民法第97条(隔地者に対する意思表示)
1 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
<民法第521条のポイント>
民法第525条は、少しわかりにくい条文です。97条2項と照らし合わせて、どのような場面に適用されるのかを理解する必要があります。
民法第525条が適用される場面は、申込者が反対の意思を表示した場合や契約の申込者が申込の発信後、申込は相手方に到達する前に、申込者が死亡した場合や行為能力を喪失し、相手方が知っていた場合です。
このような場合、第97条第2項の規定は適用されないため、契約の申込の効力を失うことになります。
相手方に到達する前の段階で、申込者に意思能力がないことを相手方が知っていた場合にまで、契約の成立を認める必要がないためです。
契約は、申込と承諾の意思表示の合致によって成立するものなので、少なくとも申込が相手方に到達する段階で申込者に意思能力がなく、しかも相手方がその事実を知っているのであれば、申込の効力を認める必要はないとイメージしておくと少しわかりやすくなりす。
最初はわかりにくいかもしれませんが、条文を丁寧に読み込んで下さい。