債権者の危険負担(民法第534条)
民法第534条(債権者の危険負担)
1 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2 不特定物に関する契約については、第401条第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。
危険負担は、双務契約において債務の一方が債務者の責めに帰することができない事由により履行不能となった場合に、反対債務も消滅するかどうかの問題です。
「債務者の責めに帰することができない事由により」というのがポイントです。
債務者の責めに帰する事由の場合は、危険負担の問題ではなく債務不履行の問題です。
債務者の責めに帰する場合には、債務不履行。債務者の責めに帰することができない事由による場合が危険負担です。
危険負担の問題になって初めて債務者主義・債権者主義の検討に入ります。
まず、債務者の責めに帰することができない事由により、反対債務も消滅する場合を債務者主義、反対債務は存続する場合は債権者主義です。
そして、民法は債務者主義を原則としています。
一方の債務が、債務者の責めに帰することができない事由により消滅した場合、もう一方の債務も消滅すると考えるのが公平だからです。
よって、債務者主義が原則、債権者主義が例外です。
試験対策的には例外の債権者主義となる場合を押さえておく必要があります。