債務者の危険負担等(第536条)
第536条(債務者の危険負担等)
1 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
民法第536条1項は、危険負担の債務者主義に関する条文です。
1項で、「前二条に規定する場合を除き」とあります。この条文構造からも民法は債務者主義を原則とし、例外的に債権者主義(534条、535条2項、536条2項)を採用しているということができます。
536条1項は、当事者双方に帰責性がなく、履行不能となった場合です。この場合、反対給付を受ける権利を失うことになり、すでに反対給付を受領していた場合には返還義務が生じます。
次に、民法第536条2項は、危険負担の債権者主義に関する条文です。
2項は債権者のめに帰すべき事由によって履行不能となった場合です。この場合、反対債務は存続することになります。
よって、債務者は反対債務の請求権を失いません。
「公平」という観点から、どのようなえケースが債権者主義になり、もしくは債務者主義になるのかを考えながら一度整理しておくと定着しやすいと思います。