年次有給休暇(労働基準法第39条)
年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」における全労働日の日数は、就業規則その他によって定められた所定の休日をいう。したがって、所定の休日に労働させたとしてもその日は全労度日に含まれないが、逆に、使用者の責めに帰すべき事由による休業の日については、ここでいう全労働日に含まれる。
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解答 ×
(出典)H14年問5E
「使用者の責めに帰すべき事由による休業の日」については、全労働日に含まれません。
したがって、設問は誤りです。
出勤率=出勤日/全労働日です。
(1)全労働日に含まれないものはなにか、(2)出勤日に含まれるものは何かをそれぞれ整理しておく必要があります。
ポイントは、労働者に有利な結論に導くことです。
出勤率8割以上が年次有給休暇の発生要件ですので、出勤率が高い方が労働者に有利です。(当たり前のことかもしれませんが、ここが出発点です。)
出勤率の計算式をもう一度確認してください。
出勤率が高くなるためには、分母である「全労働日」は少ない方が労働者に有利で、分子である「出勤日」は多い方が労働者に有利です。(分母が少ないほど、又は分子が多いほど、出勤率は高くなります。)
まず、ここまで確実に理解してください。
結論としては、分母である「全労働日」は少ない方が労働者に有利なので、労働基準法は全労働日に含まれない日を定めています。反対に、分子である「出勤日」は多い方が労働者に有利なので、労働基準法は出勤日に含まれる日を定めています。
設問は、「使用者の責めに帰すべき事由による休業の日」が「全労働日」に含まれるのかという問題です。
使用者責任の休業です、労働者に責任はありません。
全労働日は分母です、含まれないほうが労働者に有利です。
よって、「全労働日」に、「使用者の責めに帰すべき事由による休業の日」は含まれません。
(1)全労働日に含まれないもの、(2)出勤日に含まれるものを列挙しています。
労働者に有利になるよう保護していることを視点として持った上で、整理・記憶するようにしてください。
丸暗記より、はるかに記憶が定着するはずです。
全労働日に含まれない(=労働者に有利)もの
所定の休日に労働させた日
使用者の責に帰すべき事由による休業の日
正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くされなかった日
出勤日に含まれる(=労働者に有利)もの
業務上の負傷し、又は疾病にかかり療養のための休業期間
育児介護休業法による育児休業・介護休業期間
産前産後の休業期間
年次有給休暇を取得した日
参考条文
労働基準法第39条(年次有給休暇 )
1 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
2 使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6箇月を超えて継続勤務する日(以下「6箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる6箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を与えることを要しない。
(省略)
7 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間は、第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
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