時間外及び休日の労働(労働基準法第36条)
毎年1月1日から年末までの1年間を有効期間とする、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結し、所轄労働基準監督所長に届け出た場合において、当該36協定に協定の有効期間についての自動更新条項がある場合には、翌年からは、協定の内容に変更のない限り、所轄労働基準監督署へは、何らの届出も必要ではない。
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解答 ×
(出典)H11年問5A
本問は、二つのことを検討する必要があります。
(1)自動更新の定めは有効か
(2)自動更新の定めが有効だとして、更新時の届出は不要か
(1)について
まず自動更新の定めについては有効です。
この点は裁量労働等と比較しておく必要があります。
(2)について
自動更新時には、届出が必要です。
ただし、通常の届出と異なり、「当該協定の更新について労使両当事者のいずれからも異議の申し出がなかった事実を証する書面」を届け出ることで足ります。
問題文をもう一度読んでみてください。
設問は、「何らの届出も必要ではない」としています。
よって、本問は誤りです。
そもそも自動更新が有効なのか否かは、意外に本試験で別の角度から出題された場合、混乱してしまう可能性がありますので十分注意が必要です。
参考条文
労働基準法第36条(時間外及び休日の労働 )
1 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。
2 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
3 第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
4 行政官庁は、第2項の基準に関し、第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
関連問題
労働者派遣中の労働者が派遣就業中に派遣先事業場において業務上負傷し、療養のため、3日間労働することができないために賃金を受けない場合においては、派遣先の使用者が労働基準法第76条第1項の規定に基づき休業補償を行わなければならない。
解答 ×
(出典)H17問3A
派遣事業所や派遣労働者が増加していることから、今後も労働基準法の中で、派遣法絡みの問題が出題される可能性は十分にあります。
派遣の場合、「労働者」「派遣元」「派遣先」の三者が登場することを常に意識してください。
その上で、「派遣元」「派遣先」どちらに適用されるのかを考える癖をつけるといいと思います。
受験生泣かせの問題も多数出題されますが、合格後現場では必ず役に立つ知識となります。
ある程度勉強が進んできた方は、派遣絡みの問題を一度自分なりに整理してみるといいかと思います。
初学の方は、最初から全てを記憶することは不可能ですから、無理せず基本事項を確実にすることが先決かと思います。
設問の休業補償については、派遣先ではなく派遣元の使用者が支払う必要があります。
よって、設問は誤りです。
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