時間外、休日及び深夜の割増賃金(労働基準法第37条)
労働基準法第37条第4項に基づく同法施行規則第21条の規定によって、割増賃金の計算の基礎となる賃金には住宅手当は算入されないこととされており、この算入されない住宅手当には、例えば、賃貸住宅の居住者には3万円、持家の居住者には1万円というように、住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当も含まれる。
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解答 ×
(出典)H11年問3C
問題文に「割増賃金の計算の基礎となる賃金には住宅手当は算入されないこととされており」とあるように住宅手当は割増賃金の計算の基礎となる賃金には算入しません。
まず、ここが出発点です。
今回は住宅手当から出題されていますが、今後はその他の割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金についても出題対象となる可能性がありますので、割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金は確実に抑えておく必要があります。(下記に列挙しておきましたので、この機会にもう一度確認しておいて下さい。
その上で、設問の手当てが割増賃金の基礎から除外される住宅手当に該当するのかが問題なります。
この点については、苦手な受験生もかなり多いと思われますが、一度わかるようになると、それほど怖くなくなります。
まず、会社で「住宅手当」という名称で支給されている賃金であっても、本来の「住宅手当」と異なるケースが多々あります。
このため設問のような問題が生じます。
割増賃金の基礎から除外される「住宅手当」は、あくまで住宅に要する費用に応じて算定される手当です。
住宅の形態ごとに一律に定額で支給される手当ではありません。
問題文に「一律に」という言葉が出てきたら要注意です。
例えば、家族数に関係なく「一律に」支給されている家族手当は割増賃金の基礎に算入しなければなりません。
その他にも、距離数に関係なく「一律に」支給されている通勤手当も割増賃金の基礎に算入しなければなりません。
問題文をもう一度見てください。
「住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされている手当」とあります。
このような手当てはたとえ会社が住宅手当という名称で支給していたとしても割増賃金の基礎に算入しなければなりません。
したがって、設問は誤りです。
割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
参考条文
労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
1 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
4 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
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