平均賃金(労働基準法第12条)
平均賃金は、原則としてこれを算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定するものとされており、その期間は、賃金締切日がある場合においては直前の賃金締切日から起算することとされているが、雇入後3ヶ月未満の労働者の平均賃金を算定する場合には、原則的な計算期間の3ヶ月に満たない短期間であるので、賃金締切日の有無にかかわらずすべて算定事由発生日以前雇入後の全期間について計算することとされている。
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解答 ×
(出典)H14年問3B
この問題については、まず問題文が長いということです。
数年前であれば、2又は3の肢として出題されてもおかしくないような問題ですが、1つの肢に集約されて出題されます。
この傾向は今後も続いていくと思われますが、問題文をいくつかに区切って検討して、冷静にみて下さい。
(実際の本試験では、このような余裕はないかと思いますが、過去問を検討する時には、問題文を区切って検討することが大切です。)
前置きが長くなりましたが、設問の検討に入ります。
本問は、大きく分類すると2つに分類でき、さらに前半部分を2つに分類できます。
前半(1):平均賃金の原則的な算定方法⇒○
前半(2):賃金締切日がある場合の取扱い⇒○
後半:雇入後3ヶ月未満の者の取扱い⇒×
本問は、後半部分が誤りです。
前半(1)については、労働基準法第12条1項本文「この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。」とあります。
そして、前半(2)については、同条2項において「前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。」とありますから、設問の前半部分はその通り正しいです。
前半部分については、条文知識であり、選択式の出題対象にもなり得る基本事項です。
確実に判断できなければなりません。
「日以前3ヶ月間」という表現が気になって誤りと判断してしまった方もいるかもしれません。
よく学習されている証だと思います。
実際は、「算定すべき事由の発生した日」は含めずに計算しますので、「以前」の「以」は日本語的におかしいのですが、条文上の表現が「以前」となってますので、誤りとは言えません。(下記の条文を参照下さい。)
次に、設問の後段部分をもう一度読み返して下さい。
雇入後3ヶ月未満の労働者の平均賃金算定に関する問題です。
これは、知っているか知らないかの知識問題ですので、知らなかった方はこの機会に確認しておいて下さい。
3ヶ月未満の労働者であっても、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算して問題ありません。
必ずしも労働者に不利になるわけではないですし、事務処理上の観点からも認める必要があるからです。
一見正しいような気がしますが、ひっかけです。
平均賃金のポイント
「算定すべき事由の発生した日」は含めずに計算するにも関らず、条文上は「以前」となっています。
実務的には、直前の賃金締切日から起算することが多いですが、試験対策的には原則・例外ともに押さえておく必要があります。
参考条文
労働基準法第12条(平均賃金)
1 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の1によって計算した金額を下ってはならない。
(1)賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によってて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100の60
(2)賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
2 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
3 前2項に規定する期間中に、次の各号の1に該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前2項の期間及び賃金の総額から控除する。
(1)業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
(2)産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間
(3)使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
(4)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業(同法第61条第3項(同条第6項から第8項までにおいて準用する場合を含む。)に規定する介護をするための休業を含む。第39条第7項において同じ。)をした期間
(5)試みの使用期間
4 第1項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
5 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第1項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
6 雇入後3箇月に満たない者については、第1項の期間は、雇入後の期間とする。
7 日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。
8 第1項乃至第6項によって算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。
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